はじめに:発達障害に関する研修、どんなものがある?
発達障害について学べる研修は、札幌市内や周辺だけでも種類が多く、内容や難易度、形式にいたるまでさまざまです。そのため「どれを選べばいいの?」と迷ってしまう方も多いはずです。
発達障害の理解は、ただ単に用語の理解をインプットするだけでなく、実践のコツや環境調整、関係づくりなど多面的な視点が求められます。だからこそ、自分の目的やレベルに合った研修を選ぶことが大切です。
この記事では、札幌で受けられる主要な研修を、目的や対象者、費用などの観点から整理し、あなたに合った学び方のヒントをわかりやすく紹介しています。
研修の対象・目的・内容別まとめ

札幌市内や周辺で開催される発達障害研修は、専門職向けの高度な研修から保護者向けの入門講座までそろっており、自分の目的や知識レベルに応じて選べる点が特徴です。
専門職向け研修
専門職向けの発達障害研修は、医療・福祉・教育分野などで働く方が対象です。
目的は、診断や支援の専門知識を深め、実務に応用できるスキルを身につけることにあります。
例えば、自閉スペクトラム症(ASD)や注意欠如・多動症(ADHD)などの特性理解、行動観察や支援計画の作成、就労支援の方法などが学べます。
研修の期間は数時間から数日間まであり、オンラインや対面形式が選べるため、勤務状況に合わせて参加可能です。
保護者向け研修、勉強会
保護者向けの研修や勉強会は、発達障害のある子どもを持つ保護者などが対象です。
目的は、子どもの特性理解と日常生活での支援方法の習得にあります。
例えば、学習や生活の工夫、コミュニケーションの取り方、学校や医療機関との連携方法などを具体的に学べます。料金は無料から数千円程度、時間は半日~1日が多いです。オンラインでの参加が可能な研修も増えており、忙しい保護者でも比較的参加しやすい内容です。
教育、福祉分野で役立つ研修
学習支援や福祉分野の研修は、学校教員や支援員、ボランティアなどが対象です。
目的は、発達障害のある子どもや成人への支援技術を向上させることです。
具体例として、教材作成の工夫、環境調整、行動支援の実践方法、福祉制度の活用方法などがあります。
研修期間は半日~数日、レベルは入門から実践的な応用までさまざまで、現場でのすぐに活用するこが可能です。
主に発達障害に関する研修を実施している団体
札幌市自閉症・発達障がい支援センター「おがる」
研修の種類と特徴
札幌市自閉症・発達障がい支援センター「おがる」は、発達障がいのある方やその家族、支援者を対象に、多様な研修を提供しています。
主な研修内容は以下の通りです。
- 支援者向け研修
医療・福祉・教育分野の専門職を対象に、発達障害の理解や支援技術の向上を目的とした研修を実施しています。 - 保護者向け研修
発達障害のある子どもを持つ保護者を対象に、日常生活での支援方法や情報提供を行っています。 - 一般向け講座
地域住民や学生など、一般の方々を対象に、発達障害に関する理解を深めるための講座を開催しています。
研修の詳細
- 開催日程
年間を通じて定期的に開催されています。 - 開催方法
対面形式とオンライン形式の両方があり、参加者のニーズに応じて選択可能です。 - 申込方法
「おがる」の公式サイトを通じて行うことができます。 - 参加費用
研修内容や対象者によって異なり、無料のものから有料のものまでさまざまです。 - その他
「おがる」の研修は、発達障がいの専門知識を有する講師陣によって実施されます。研修プログラムは、最新の研究成果や実践事例を基に構成されており、参加者が実務に活かせる内容となっています。

北海道障害者職業センター
研修の種類と特徴
北海道障害者職業センターの研修は、主に支援者や支援に携わる予定の方などを対象に、多様な研修を提供しています。
主な研修内容は以下の通りです。
- 職場適応援助者(ジョブコーチ)養成研修
障害者就労支援の実務に携わっている方または携わる予定の方、企業内で障害者の雇用管理・指導にあたる方などを対象に、障害者の職場定着や職場適応を支援する「職場適応援助者(ジョブコーチ)」として必要な知識および技能を身につけることを目的にしています。集合研修と実技研修があり、実践的な知識を養うことができます。 - 職場適応援助者サポート研修、支援スキル向上研修
職場適応援助者(ジョブコーチ)養成研修またはスキル向上研修を修了して、障害者の職場定着支援を実務として行っている方などを対象に、養成研修を修了したジョブコーチなどが、日頃の支援を振り返り、スキルを深めるための研修となっています。
主に事例検討(ケーススタディ)やテーマ別(例:発達障害者支援など)研修などが実施されています。
就労支援基礎研修、基礎的研修・フォローアップ研修
就労移行支援事業所や就労定着支援事業所など、障害者就労支援を担う福祉・医療・教育機関の職員などを対象に、福祉・教育・医療分野に密接に関わる雇用と福祉の連携や就労支援の基礎知識、スキルなどを学ぶことができます。令和7年度から「障害者の就労支援に関する基礎的研修」がスタートしました。
その他(オーダーメイド型研修、関係機関向け研修など)
福祉や教育、医療、支援機関など、就労支援に関わる組織や機関の支援員などを対象に、関係機関のニーズに応じて、講師派遣・教材提供・事例検討(ケーススタディ)・実習などをカスタマイズすることで、それぞれに適した内容を提供するものです。研修を通じて、支援方法や職業リハビリテーションの助言、援助を受けることができます。
研修の詳細
- 開催日程
研修やセミナーごとに個別の日程が設定されています。年に複数回、基礎研修やセミナー、短期コースの研修などを実施しており、比較的参加しやすくなっています。 - 開催方法
対面での集合研修 が中心になっていますが、一部はオンライン(オンデマンド)と対面での併用の研修もあります。また、実技研修では企業実習を含むこともあります。 - 申込方法
事前予約制となっており、Webでの申し込み、メール、電話、支援機関経由など、研修ごとに方法が異なります。また、各研修ごとに定員があり、申し込みが多数の場合は早期の締め切りもあるので注意しましょう。 - 参加費用
原則すべて無料となっています。 - その他
障害種別や手帳の有無に関わらず利用が可能です。研修会場は、主に札幌本所(北24条)またはポリテクセンター北海道(西区)になります。
研修によって対象者が異なるのでwebページや電話などで事前に確認することをおすすめします。
■北海道保健福祉部 福祉局 障がい者保健福祉課
研修の種類と特徴
北海道保健福祉部の研修は、主に支援者や支援に携わる予定の方などを対象に、多様な研修を提供しています。
主な研修内容は以下の通りです。
- 発達支援研修会
市町村職員、相談支援事業所職員、障害児通所支援事業所職員、障害福祉サービス事業所職員、教育関係者、地域づくりコーディネーターなど発達障害児者の関係者を対象に、発達障害のある子どもや家族への支援の質を高めるため、対応困難な支援事例の検討や支援体制の課題などを共有します。 - 発達障がい理解促進フォーラム
北海道民を対象に、発達障害の特性や配慮の理解、家族の関わり方などを学びます。 - サービス管理責任者等研修
サービス管理責任者や児童発達支援管理責任者を目指す実務経験者を対象に、実際に実務をこなしていくために必要な知識や実務スキルを身につけることができます。
障害福祉サービス事業所で管理・支援計画策定を担う人材育成を行うことを目的としています。
- 強度行動障がい支援者養成研修 / 行動援護従業者養成研修
原則として北海道在住者または北海道内事業所の従事者を対象に、強度行動障害(発達障害を伴う行動課題がある人)を支援できる専門支援者を養成します。
基礎と実践の2つの研修があります。
研修の詳細
- 開催日程
各研修ごとに年度単位で個別に設定されています。また、年間を通して複数回実施されているものが多いです。 - 開催方法
Zoomなどオンラインでの開催が中心ですが、一部は会場開催(対面)またはオンラインとの併用の研修もあります。オンデマンドによる録画配信は研修により対応が異なります。支援者向け研修は講義と事例検討形式で実施することが多いです。 - 申込方法
北海道庁の申込みフォームからWebで申し込みするかメール申し込みが多いです。
申込期間が設定されておりますが、締切日前に受付が終了する可能性や申込多数の場合は抽選となることもあります。
研修への参加が決定した後、研修URLや資料ダウンロード案内がメールで送付されます。 - 参加費用
すべて無料です。 - その他
参加証明書の発行は研修により異なります。開催案内や資料、募集情報などの詳しい情報は北海道庁の障害者保健福祉課(発達障がい情報)ページで随時更新しています(詳しくは下記リンクを参照してください)。

研修実施団体のお問い合わせ先・関連リンク
ここまでにご紹介した、主に発達障害に関する研修を実施している団体の住所・電話番号・公式サイトへのリンクをご紹介します。
ご興味のある団体・研修がある方は、おまとめした情報を活用くださいませ。
札幌市自閉症・発達障がい支援センター「おがる」
北海道障害者職業センター
北海道保健福祉部 福祉局 障がい者保健福祉課
まとめ:まずは、自分の目的とレベルに合った研修を探す
札幌市内やその周辺では、専門職向けから保護者向けまで、発達障害を学べる多様な研修がそろっています。大切なのは、自分の目的とレベルに合った研修を選ぶことです。
知識を深めたい方や現場力を上げたい方、日常の関わりを改善したい方など、必要な学びは人によって異なります。