札幌の就労移行支援 発達障害

【札幌版】発達障害を持つ方の就職活動における「最初のステップ」とは?

はじめに:発達障害を持つ方の就職活動における「最初のステップ」とは?

(読了見込時間:約15分)

本ページをご覧いただき、ありがとうございます。

この記事に辿りついた方の多くが、

働きたいけど、発達障害を持つ自身が就活をするにあたって、何から手をつければいいか分からない

発達障害である自分に合う仕事なんて、本当にあるのだろうか…

このような疑問や不安を抱えているのではないでしょうか。

 

本サイト「札幌の「大人の発達障害」お助け窓口」では、札幌にお住まいの発達障害をお持ちの方へ向けた暮らしや日々の困りごとを解決するヒントをご紹介しております。

本ページでは札幌市内でこれから働くことを検討している発達障害をお持ちの皆さまへ向け、これから就職活動をはじめるにあたって「最初のステップとしてどんなことができるのか」をご紹介していきたいと思います。

こで紹介する内容が、読者の方にとって最初の一歩を踏み出すきっかけになれば幸いです。

筆者について

  • 札幌市内の障害福祉サービスを提供する事業所にて、生活支援員/精神保健福祉士として勤務しています
  • 勤務している事業所では日々、一般就労を目指す障害者のかたの就職活動のお手伝いや訓練の実施、個別対応を行っています
  • 趣味はエレキギター、歌、ファッション、カフェ巡りとやや多趣味です

以上、筆者の簡単な自己紹介をしたところで、これから皆さんと一緒に「就職活動におけるはじめのステップ」を見ていきたいと思います。

それでは、一緒に参りましょう。

 

就職活動における「最初のステップ」とは?

皆さんが最初のステップとしてできることとは何か…

今回は、項目を大きく3つに分けてご紹介したいと思います。

1.  自身の障害とその特徴について、まずはより知ってみる

2. 「働き方」の選択肢を覗いてみる

3. 自身に合った「支援機関」という名のアシストに頼ってみる

 

1. 自身の障害とその特徴について、まずはより知ってみる

障害について「知る」となったとき、皆さんは具体的にどのようなことをしようとするでしょうか。

発達障害を題材にした書籍は近年よく出版されていますし、「発達障害」という言葉もここ数年で認知度が高まってきたことから、検索サービスを活用すればありとあらゆる言葉が検索欄に候補として挙がってくることでしょう。

しかし多くの場合、

「発達障害は過集中の傾向がある」

「衝動的に行動してしまうのが発達障害の特徴だ」

「物事を後回しにしてしまうのは発達障害のある人によくあることだ」

…といったようなことが羅列されるケースが多々あるように感じます。

 

それは実際に起こりうることでありますし、いち支援者でもある筆者もよくそういった当事者の方とは出会うことがあります。

ただ、これだと「障害そのものが悪い、仕方ない」というニュアンスで終わってしまいます

たしかに障害において、「完治する」ということはありません。障害があることによって、生活や人間関係に何らかの影響を与えかねないことも事実だと思います。

 

じゃあ「障害があるひとは働いてはいけないのか」、それは違います。

実際に、発達障害の当事者の方でも社会に出て働くことができている方は大勢います。筆者が支援している方の多くが、発達障害をお持ちです。

 

では、なぜ彼らは仕事を見つけることができたのか。

それは、自身の障害に対する捉え方を彼らが自ら変えていったからであると思います。

その「変える」という過程の中で、冒頭で記した「知る」という作業を行っているのです。

 

「こういう場面で人より疲れやすい」の「こういう場面」というのを、皆さんは自身に当てはめて具体的にイメージできますか?

「人混みのある場所」

「子供の声がたくさんある場所」

「蛍光灯の光がそこら中にある場所」

…おそらくこの答えは皆さん自身の中に本来存在するはずですが、改めて自発的にイメージを膨らませてみると、よりその光景が細かく頭の中で描写されていくのではないでしょうか。

 

それは皆さんにとっての「これは得意だ・好きだ」、ということにおいても同じことが言えます

「こんな作業はなぜか夢中になれる」、という「夢中になれるこんな作業」というのも、皆さんそれぞれ違ったイメージを各々で持っているのではないでしょうか。

例えば…

「単調で変化はないけど、黙々とできる作業」

「自分の好きなことをとことん調べ続ける作業」

「マニュアルどおりに安心して取り組める作業」

日常生活や過去の仕事での経験を振り返ると、思い当たるものがわずかでも挙げられるのではないでしょうか。


<参考>精神障害者の就労の継続の難しさ

精神障害・発達障害がある方の就労継続は、他の障害種別(身体障害、知的障害を指す)と比較すると低くあることが実際の統計調査で明らかになっています。

いずれも人間関係の構築に難しさを感じることが、就労継続を難しくする要因であることが共通しています。

 

2. 「働き方」の選択肢を覗いてみる

1.では、自分の障害の特徴について「知る」ということをしてきました。

では、次はその特徴に、どんな働き方がマッチするのかを考えていく段階に参りましょう。

「どんな工夫や条件があれば働きやすくなるのか」といった、具体的な”働き方”のポイントをみつけていきましょう。

 

では、そのためには何をしていくのか。

具体的に条件やポイントを見ていくにしろ、ただ求人を探すだけではそれを見つけていくのは難しいです。

料理だってなんだって、レシピを知っていても実際の味を知らないと、そのもの自体再現をするのは困難かと思います。

じゃあ何をすれば味を、働き方のイメージを具体化できるのか。

 

それは、「自身と同じように働く人の実情や声に耳を傾けてみること」です。

自分と同じ障害を持つ人が実際に社会でどんな働き方・活躍をしているのかを、皆さんは見たことがありますでしょうか。

前述したように、筆者である私が関わっている方の多くが発達障害をお持ちです。

筆者が行っている関わりは障害を持つ方の自立を促すこと、そのなかに「就労」という選択をとる方がいらっしゃいます。

 

彼らも皆さん同様に就労を考える上で求人を探したり、自身にあう仕事が何かを支援者へ相談したりとアクションを起こしますが、なかなかイメージが湧かなかったりすることも多くあります。

そんな時によく提案をするのが、ご本人の関心や興味に近い分野を扱う企業さんでの実習や企業の方との交流だったりします。そこで自分の想像しているものと現実がどれほど違うのかを、実際に体感するのです。

 

体感したものは、その人にとってなにより大きなお土産です。実際多くの方が「体感」をしたことによって、

「イメージと全然違った」

「自分の中で思い込んでいるポイントがいっぱいあった」

と語ります。

体感するということが、自身の想像を覆すことも多くあるのです。

 

3. 自身に合った「支援機関」という名のアシストに頼ってみる

1.と2.では、自身の障害と向き合い、その上で働くビジョンについて幾つかの可能性を見出すということを行ってきました。

では、次のステップではさらに「自分の就職活動をよりアシストしてくれる存在」を見つけていきましょう。

就職活動自体はよく「孤独な戦い」と揶揄されることが多いですが、志望動機の作成や面接練習など、時に客観的な視点が必要になる場合も発生するのではないでしょうか。

そんな時に頼れるのが、皆さんがお住まいの街にも設置されている就労支援を行う専門機関なのです。

今回は札幌市内にある関係する支援機関を、いくつかピックアップしてご紹介します。

それぞれ異なる機能を持っておりますため、自身の状況にあわせてどんな支援機関を頼ることができるのか一緒にイメージしてみましょう。

 

(1)公共職業安定所(通称:ハローワーク

皆さんの中にも、使ったことがあるという方がいらっしゃるかもしれません。

離職後の雇用保険の受給手続きや、一般的な求職活動のための検索端末や窓口での相談を行えるイメージをお持ちの方が多いと思いますが、障害をお持ちの方へ向けたみどりのコーナーという窓口もあります。

ここでは、(※)障害者雇用 を希望する方へ向けた求人紹介、応募時の紹介状の発行などを行っています。

障害者手帳を所持している方であれば、求職者登録をすることでサービスを受けることができます。

(※)障害者雇用とは…

「障害者手帳」を持つ人を対象とした採用枠のことです

この採用枠における最大のメリットは企業側が皆さんの障害特性を理解した上で働きやすいように「合理的配慮」を提供することにあります


「合理的配慮」の例

①業務指示に不安を感じる

【障害特性】言葉のみの指示、抽象的な表現だと理解が曖昧になりやすい

【会社依頼する配慮】業務指示を口頭ではなく、文章や図で示してもらう

 

②勤務の環境に懸念がある

【障害特性】大きな音や眩しい光に対して耳や目が過敏に反応してしまうため、業務に集中することが難しい

【会社依頼する配慮】静かな座席を用意してもらうことで、業務への集中と継続的な就労のための環境調整を依頼する

こうした配慮を依頼することで職場とのミスマッチが起こりにくく、安心して長く働きやすい環境を得られる可能性が高まります

 

 

(2)障害者就業・生活支援センター(通称:なかぽつ)

名称にも含まれているように、障害をお持ちの方の就労と生活をサポートする機関です。

自立は働くことのみでなく、地域で衣食住を自身で管理し暮らすことも含まれます。自身の「自立」について生活も含めて不安を感じる方については、就職活動に合わせて生活に関してもより安心したサポートを受けることができるはずです。また、どんな就労支援機関を使ったら良いか迷った際にも相談に乗ってくれます。


<参考>札幌市内のなかぽつのご紹介

  • 札幌市の管轄で運営されているなかぽつ(4か所)
  • 北海道の管轄で運営されているなかぽつ(1か所)

があります。

 

(3)地域障害者職業センター

障害をもつ方の就職活動について

・休職中の方が復職するにあたっての相談

以上2つ役割を担っている支援機関です。職業準備支援というはたらくための下地づくりを行っていくための支援や、自己理解の一環としての職業評価の実施行っています。

 

(4)就労移行支援事業所

お仕事をされていない、障害をお持ちの方が使うことのできる支援機関です。

継続的な利用を通じ、就職に必要な知識の取得のための訓練の受講・支援員を通じて職場実習体験するなど、一般就労に向けた取り組みを支援員とともに行っていきます。

上記の3つの専門機関と異なるのは、就労移行支援事業所は障害福祉サービスというものに該当するもののため、利用を行うにあたっては

  • お住まいの区役所へ申請を行うということ
  • 利用期間が原則2年と定められている

という特徴があります。

 

おわりに

以上、皆さんの就職活動のアシストできる可能性がある支援機関をいくつかピックアップしご紹介して参りました。

この中の支援機関を1つ使ってみるのも良いですし、(1)〜(4)にはそれぞれ「連携する」という機能もあり、支援機関のスタッフ・職員を通じて複合的に活用することも可能です。

就職活動は、決して「一人で戦う」必要はありません。

自分に合った最適なアシスト先を見つけ、自信を持って就労への一歩を踏み出しましょう。

ここでお伝えしたことが、就職活動を行う、もしくはこれからはじめようと考えている皆さんにとってのヒントとなれば嬉しく思います。

 

また、本サイト「札幌の「大人の発達障害」お助け窓口」では就職活動以外でも、発達障害に関連する困りごと、皆さんの助けとなれる情報を今後も掲載しております。

何か気になるトピックがありましたら、一緒にお読みいただけますと幸いです。

 

それでは、またどこかでお会いいたしましょう。

 

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